長い低金利のために金融機関へ預けておくよりも不動産に投資をされる方もいらっしゃると思いますけれども、借入れをして取得された物件の不動産所得の確定申告を初めて行う場合には、充分に注意が必要です。

他の所得と通算(合算相殺)する不動産所得の赤字額のうち、融資を受けて土地を取得した支払利息の金額がある場合には、その金額は損益通算の対象から除かなければなりません。(租税特別措置法第41条の4
バブル終期の平成3年に施行された税法ですが、まだゾンビのように生きております。

例えば給与所得者がサイドビジネスとしてマンション1室を購入して賃貸している場合は、次のように計算します。
1.給与所得の金額(給与所得控除後の金額):400万円
2.不動産所得
1) 収入金額:200万円
2) 経費:300万円(内 支払利息:50万円)
3) 不動産所得の金額:200万円Δ300万円=Δ100万円
※ マンション(建物1000万円、土地20000万円)は手持ち資金500万円と2500万円借入れで購入
→ 土地の取得に要した借入金:2500万円Δ1000万円=1500万円
 (建物を借入れで優先的に購入したものとして計算できます)
∴ 土地の取得に要した利息:50万円×1500万円/2500万円=30万円
3.合計所得金額:400万円+(Δ100万円+30万円)=330万円

古いマンションでは、建物の価格よりも土地の価格の占める割合がかなり大きいことがありますから、そのような場合には不動産の赤字分をほとんど通算することができずに、当初の目論見と違って節税対策にもならなかった、ということもあります。
ご購入時には総額だけでは無く、建物と土地のそれぞれの価格を確認しておくことはとても大切です。

Big Orange@大船